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夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と夜間頻尿には関連があり、睡眠時無呼吸症候群が夜間頻尿の原因となることがあります。

睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸状態によって血液中の酸素濃度が低下し、血圧や心拍数が上昇します。これにより交感神経が優位になり、膀胱が収縮しやすくなるため、尿意を感じやすくなります。また、無呼吸時に胸腔内圧が低下し、静脈還流が増加することで、心臓に戻ってくる血液量と圧力が増加します。この心臓負荷により体液が多すぎると体が勘違いし、心房組織から心房性ナトリウム利尿ホルモンが放出されるため、夜間尿量が増え、夜間頻尿になりやすいのです。

睡眠時無呼吸症候群の他の症状には、次のようなものがあります。激しいいびき、中途覚醒の繰り返し、起床時の頭痛、集中力の低下、 昼間の眠気。

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。医療機関では、問診や自宅での簡易検査などにより、睡眠中の状況を把握します。

 

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、眠っている間に呼吸が止まる病気であり、頭文字をとって「SAS(サス)」と呼ばれています。SASの症状は寝ている間に生じる無呼吸が影響を及ぼし、普段の生活に支障はないと思っていても、気付かないうちに日常生活に様々なリスク(高血圧や糖尿病や心疾患の合併の危険性を高める以外にも、眠気による交通事故率の増加、慢性疲労感、やる気の減退など)が生じる可能性を与えてしまいます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)チェックシート

下記の項目の中で該当するものを選んで、 [結果を見る] ボタンを押してください。

結果は該当するものをクリック !!

※こちらのセルフチェックは、睡眠時無呼吸症候群や睡眠障害の可能性を簡単な質問を通じて確認するものです。これは医師による問診や診断の代わりにはならず、あくまでも目安としてご利用いただくものです。もし結果に不安や疑問がある場合は、当院に相談されることをお勧めします。

夜間頻尿と睡眠障害

夜間頻尿とは?
夜間頻尿は、睡眠中に1回以上トイレに行く必要がある状態を指します。日本排尿機能学会によると、40歳以上の約4,500万人がこの症状に悩んでおり、年齢とともに増加します。夜間頻尿は不眠の原因となり、昼間の眠気や頭痛、集中力の低下などを引き起こすことがあります。

高齢者におけるリスク
70歳以上を対象とした国内研究(平均年齢76歳)では、夜間排尿が2回以上ある高齢者は、1回以下の高齢者と比べて以下のリスクが高いと報告されています:

骨折リスク:全体で2.01倍、転倒による骨折は2.2倍。
死亡率:1.98倍。
さらに、夜間頻尿は心血管疾患やうつ病とも関連があることが知られています。これらの影響から、適切な治療が重要視されています。

原因と治療の方向性
夜間頻尿の原因は単一ではなく、多尿や膀胱の蓄尿障害、睡眠障害などが複雑に絡み合っています。そのため、個別に原因を特定し、それに応じた治療が必要です。また、原因により診療を行う専門医も異なります。

睡眠時無呼吸症候群(OSAS)との関係
特に注目されているのが、夜間頻尿と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の関係です。ある研究(平均年齢49.7歳、平均BMI 37.7のOSAS患者138名を対象)によると、47.8%の患者が夜間2回以上トイレに起きると報告されています。高齢者に多い夜間頻尿ですが、比較的若くBMIが高い場合は、OSASが原因の可能性も考慮すべきです。

 

OSASによる夜間頻尿の機序

夜間頻尿と夜間多尿の関係
夜間頻尿の主な原因の一つに夜間多尿があります。そして、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は睡眠障害を伴い、夜間多尿を引き起こすことで夜間頻尿を悪化させると考えられています。

OSASが夜間多尿を引き起こす仕組み
OSASが夜間多尿を引き起こすメカニズムについては、次の3つの仮説が挙げられています:

胸腔内圧の変化による影響
気道が閉塞すると胸腔内が陰圧になり、一時的に心房への静脈還流が増加します。この結果、右心房に負荷がかかり、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が分泌されます。これにより腎臓での水分とナトリウムの排泄が増加します。
低酸素による交感神経刺激
無呼吸により酸素分圧が低下すると、体内に二酸化炭素が蓄積し、アシドーシス(酸性化)が起こります。この状態が交感神経を刺激し、尿の生成を増やすと考えられます。
酸素分圧低下による再吸収阻害
酸素分圧の低下により、腎臓の尿細管でナトリウムと水分の再吸収が妨げられることで尿量が増える可能性があります。
以上のようなメカニズムが考えられており、OSASが夜間頻尿に及ぼす影響を解明する鍵となっています。

 

CPAP治療による効果

OSASに関連する夜間頻尿の治療
夜間頻尿が中等度以上で比較的若い患者の場合、OSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の有無を確認することが重要です。OSASが確認された場合、**経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)**が最も効果的な治療法のひとつとされています。

CPAPの効果を示す臨床試験
CPAPの有用性を調査した臨床試験では、以下の結果が報告されています:

Miyauchiらの研究
対象:51名のOSAS患者
使用期間:1か月
結果:
夜間尿量:542.4±289.9ml → 354.0±217.4ml(p=0.005)
夜間排尿回数:2.0±1.1回 → 1.0±1.2回(p=0.014)
排尿関連QOLスコア(IPSS-QOL):2.6±1.4 → 2.1±1.3(p=0.003)
Miyazatoらの研究
対象:40名の中等度から重度のOSAS患者
使用期間:3か月
結果:
夜間尿量:723.3±498.4ml → 453.6±251.4ml(p=0.007)
夜間排尿回数:2.1±1.2回 → 1.2±1.0回(p<0.001)
まとめ
治療が難しい夜間頻尿の場合、OSASの存在を考慮し、該当する場合にはCPAPが有効な治療手段となる可能性があります。これにより夜間尿量や排尿回数の改善、さらに生活の質(QOL)の向上が期待できます。