院長ブログ
自覚できる血管障害「ED」
メタボリックシンドロームのような生活習慣病を合併したEDは単なる勃起機能不全という位置づけではなく、全身の血管障害の一症状としても注目すべきと以前のブログでも書きました。
1月29日に東京で男性医学2011という講演会があり参加してきました。
男性における男性ホルモン減少が身体的、精神的にどのように影響するかを日本の第一線の研究者が講演しました。その内容を紹介します。
◎ 老年医学の観点からの男性医学
男性において男性ホルモンが減少して生じる病態をLOH症候群と言います。
女性の場合は加齢による女性ホルモンの減少に伴う更年期障害が知られていますが
男性の場合は女性と違ってホルモンが減少する時期に個人差が大きいため
男性更年期障害という病名よりも加齢男性性線機能低下症候群(LOH症候群)が用いられています。
男性ホルモンが減少するとメタボリックシンドロームを発症しやすくなり、肥満となります。
これに対し男性ホルモンを補充することで脂肪が燃焼し、肥満が解消されます。
男性ホルモンが減少すると血管内皮細胞の機能低下も生じます。これにより心筋梗塞や脳梗塞などの心血管系の疾患を発症するリスクが高くなります。
男性ホルモンが減少すると日常生活動作、認知機能、意欲が低下し、抑うつ状態になりやすくなります。このような虚弱状態になることで、要介護高齢男性では男性ホルモンが減少することで死亡リスクが高くなることが分かっています。
◎ 泌尿器科の観点からの男性医学
LOH症候群の一症状であるED(勃起障害)ですが、これに対するリスクファクターとしてメタボリックシンドロームとLUTS(下部尿路症状)が挙げられます。
※ LUTS 前立腺肥大症や過活動膀胱などに伴う下部尿路症状の総称
EDの治療にはPDE5阻害剤であるバイアグラなどが使われますが、これが無効な場合男性ホルモンを補充することで効果が出る場合があります。またLUTSに対しても男性ホルモンを補充することでLUTSが改善することもあります。
さらにPDE5は前立腺、膀胱にも存在し、PDE5阻害剤を投与することでLUTSを改善することも分かっています。
EDは自覚できる血管障害(動脈硬化)ですので、PDE5阻害剤を毎日内服すれば血管内皮細胞の機能を改善する効果で全身の動脈硬化の改善も期待できます。(薬剤費が高いのであまり現実的ではありませんが…)
このように男性ホルモンが低下した場合には積極的に男性ホルモンを補充療法を行うことで健康な生活をすごせるようになります。
昨年NHKの「ためしてガッテン」で「600万人を襲う謎の不元気症候群」をして
取り上げられたLOH症候群は
うつの治療をしてもなかなか治らなった方たちに、
最後の希望ともいえる福音となりました。
当院ではホルモン検査を希望される方には積極的に検査をし、
男性ホルモン低下例には男性ホルモン補充療法を行っています。
またホルモン補充療法だけではなく、
自己の男性ホルモンを増加させる事も重要なため、
AC BODYによる運動療法も行っています。
LOH症候群ではないかと疑われる方は検査にお越し下さい。
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