院長ブログ
円形脱毛症に多血小板血漿注射(PRP)が有望
円形脱毛症治療について多血小板血漿(PRP)注射が安全で有効な治療選択肢となる可能性が示されました。
イタリア・国際毛髪研究財団のTrink氏らの無作為化二重盲検試験による予備的研究を紹介します。
悪性円形脱毛症は自己免疫疾患であり、難治性の脱毛が引き起こされます。人の体の中には免疫と呼ばれる、体内に異物が混入するとそれを攻撃・排除する防衛反応があります。しかし、自律神経がバランスを崩すと免疫は異物と正常な体内物質を区別できなくなり攻撃してしまいます。
毛髪でこの現象が起こると、免疫は毛根部の毛母細胞を外敵と判断し毛母細胞にダメージを与えます。こうなるとほぼ全身の毛がなくなり、有効な治療法はありません。
PRP注射は美容皮膚科領域ではしわ・たるみなど肌若返りに用いられている治療法であり、本邦では今年横浜で行われた抗加齢医学会総会でも発毛にも有益な役割を果たす可能性があるという発表がありました。
イタリアの研究グループは、円形脱毛症におけるPRP注射の有効性と安全性を評価するため、頭皮の2分の1において行う無作為化二重盲検プラセボおよび実薬対照並行群間試験を行いました。
45例の被験者が頭皮の2分の1にPRPもしくはトリアムシノロンアセトニド(TrA、商品名:ケナコルトA)またはプラセボの病変部注射を受ける群に無作為に分けられました。残る半分の頭皮には治療が行われませんでした。
エンドポイントは、毛髪再生、ダーモスコピーで認められた毛髪形質異常、灼熱感/かゆみ、Ki-67評価による細胞増殖でした。
主な結果は以下のとおり。
・治療は計3回、1ヵ月間隔で各患者に対して行われ、1年間経過観察された。
・TrA治療群またはプラセボ群と比較してPRP群は毛髪の再生が有意に増大した。
・また、毛髪形質異常、灼熱感/かゆみは減少し、細胞増殖は有意に増大した。
・治療期間中、有害事象は示されなかった。
・円形脱毛症におけるPRPの有効性を調べる初めての検討でした。
今回の研究においてPRPが安全かつ有効な円形脱毛症治療の選択肢となる可能性が示唆されました。さらなる大規模対照試験が求められます。
Trink A et al. Br J Dermatol. 2013 Sep;169(3):690-4. Epub 2013 Apr 22.
提供元:ケアネット
名古屋 アンチエイジング 再生医療 佐井泌尿器科・皮フ科クリニック
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