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院長ブログ

新しい前立腺肥大の薬「ザルティア」

 前立腺肥大症の原因は腺腫が肥大し尿道が圧迫され、尿が出にくくなり
それによる膀胱機能の障害を生じます。

つまり
尿道閉塞自体から生じた排尿症状
 尿勢低下、排尿遅延
尿道閉塞から二次的に生じた膀胱機能の変化に関連した刺激症状
 頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感
さらに排尿後症状として
 残尿感、排尿後尿滴下

従来の治療は
尿道の緊張を緩和させるα1ブロッカーの内服や
腫大した腺腫を小さくさせる5α還元酵素阻害剤が主な治療でした。

今回発売されたザルティアは全く新しい機序で前立腺肥大症の症状を和らげます。

キーワードはNO(一酸化窒素)です。
NOは平滑筋細胞内のcGMPの産生を促進し,
細胞内のCaイオン濃度が低下して平滑筋が弛緩させます。

ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬であるザルティアは
cGMPの分解を阻害するので,結果的にはNOの作用を増強します。

尿道や前立腺さらに膀胱の平滑筋もNOを介して弛緩するので
ザルティアは下部尿路症状を改善するのです。

6月24日にザルティアの発売元の日本新薬からMR向けの勉強会の講師を頼まれたので
前立腺肥大症の診断と治療とザルティアの使用経験を話してきました。

発売開始からまだ数例の使用経験でしたが
症状が改善した患者さんが実感した症状のうち
他の薬剤と大きく異なったのが下記の症状でした。

「切れが良い!」
「排尿後の漏れがなくなった!」

今までの経験では
α1ブロッカーを投与していても、上記のような症状は取れないことが多く
そしてこの症状は他の症状に比較して、不快感が強いため
これが改善できるのであれば,患者のQOLの改善に大きくつながります。
これまでの薬剤に満足できなかった方には朗報です。

またPDE5阻害剤と聞いて、
すでにお気づきになった方と思いますが
この薬剤はED治療薬のシアリスと同じ成分です。
用量は5mgとEDで通常使用する量の半分ですが、
軽症のEDであれば、改善する可能性があります。

ただED治療を目的として使用できませんので
あくまでも前立腺肥大症の治療に伴い、
EDも改善する人もある程度とお考え下さい。

この薬剤は保険診療でお出しできますが、
前立腺肥大症がない方には処方できません。

診断には症状ではなく
超音波検査、尿流量検査、残尿検査、前立腺癌検査等が必要で
客観的に前立腺肥大症があることが必須です。

またザルティアを投与できない方は
 硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン等)を投与中の患者
 心血管系障害を有する患者
 重度の腎障害のある患者
 重度の肝障害のある患者

前立腺肥大症があり、今までの薬剤で満足できない方は診察時にご相談下さい。

前立腺肥大症についてはこちら


投稿者 佐井泌尿器科・皮フ科クリニック (15:40)